古い車を整備していると、ボルトが折れたりネジ山をナメてしまうことが稀にあります。
そんな時に救済する方法を紹介します。
紹介する方法は比較的簡単にトライすることができますが、基本的に救済作業はプロにお任せすることをお勧めします。
折れたボルトの抜き取り作業

ボルトが錆びていたり、作業時に誤ってオーバートルクをかけてしまった場合など、ボルト穴の中でボルトが折れてしまうことがあります。
この場合の折れたボルトの摘出方法です。

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エキストラクターを使用して摘出を試みます。
用意するもの
- ドリル
- ドリルの刃
(ハイス鋼やコバルトハイス鋼など)- エキストラクター (逆タップ)
- 金属ハンマー
- タップハンドル

ドリルは、マキタのドリルドライバーがおすすめです。
振動を与えるドライバー機能と、通常切削のドリル機能両方が使用できます。
マキタ(Makita) 震動ドライバドリル MHP001

まずは、折れたボルトの中心に細いドリルで穴をあけます。
ボルトがねじ切れているため、先端が平らではありません。
一気にドリルを回すと確実に中心からずれるので、最初手で先端を回して中心に刃のあたりをつけるといいです。

必要に応じて、さらに太いドリルで穴を広げます。
ドリルのサイズはネジ山をつぶさない程度のサイズまでにしましょう。
今回、ドリルの回転とともにボルトが回り奥に入り込みました。
(一緒に回ると固着はしていないので摘出可能性はかなり上がります。)

開けた穴のサイズに合うエキストラクターをハンマーで叩き込みます。

しっかり刺さるとグラつかなくなります。

タップハンドルや、モンキーレンチなどでボルトを抜き取ります。
ハンドルを回した際に、重みがあれば抜けてきています。
もし軽く回るようであれば、エキストラクターが嚙んでいない為、再度叩き込むかサイズを変えましょう。

無事に摘出成功です。
ボルトにエキストラクターがしっかり噛みこんでいる為、基本的にはエキストラクターは使い捨てです。
使用工具の選択

エキストラクター
エキストラクターを使ってのボルト抜き取り作業は、ドリルの刃とエキストラクターの選択が非常に重要です。
いくつか紹介するので、状況に応じた選択をしましょう。
ドリル刃


折れたボルトやネジの素材に応じてドリルの刃の硬度を変える必要があります。
基本的にはハイス鋼・高速度工具鋼(HSS)で穴あけすることができます。
しかし、ステンレスやチタンボルトなどの難削材が折れた場合にはコバルトハイス鋼など(HSS Co)の超硬ドリル刃でないと全く穴が開きません。
また、穴あけ前の手でドリル刃を揉みつける際に、コバルトハイス鋼の刃であれば、かなり揉みつけしやすいです。
イーバリュー(E-Value) ステンレス用ドリルセット 丸軸 13本組 ESD-13S
イーバリュー(E-Value) 鉄工用ドリルセット チタンコーティング 丸軸 21本組 ETD-21S-T
エキストラクター (逆タップ)

エキストラクターにもいろいろ種類があります。
ドリルで穴をあけることができる深さや、サイズによって選択しましょう。
個人的には、長い角型か長い刃のねじりが深い丸型が好みです。
トラスコ中山(TRUSCO) エキストラクターセット ラセン型 6本組 プラケース入 EXS-1816
LACOMETA エキストラクター 角型 5個組 逆タップ タップ式エキストラクター
ベッセル(VESSEL)ネジはずしビット3本組 なめたネジ つぶれたネジM3~M8用 NEJ-123
タップハンドル

叩き込んだエキストラクターを回す際にモンキーレンチでも回すことは可能です。
しかし、回転中心がずれると噛み込んだ刃が外れることがある為、できればタップハンドルを使用することをお勧めします。
タップハンドルは大きく2種類ありハンドルを回すスペースがあるなら写真上のタイプをお勧めします。
理由は使える刃のサイズが多いためです。
また、それぞれに使用できるサイズが記載されていますが、実際には嵌める四角部分のサイズは製品によって異なるので、実際に使えるかは合わせてみないとわかりません。

開口範囲が狭い為、使えるサイズがかなり限られる

開口範囲が広い為、使えるサイズが豊富
新潟精機(Niigataseiki) SK タップハンドル M2-M10 TH-10
ホーザン(HOZAN) タップハンドル 適応タップ3~6mmφ K-437A
ナメたネジ穴の救済(リコイル)

右側の穴のネジ山が潰れている
オーバートルクなどでネジ山をつぶしてしまった場合の復活方法です。

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リコイルキットを使用して、ボルト穴にインサートを入れます。
用意するもの
- ドリル
- リコイルキット
- タップハンドル
- ハンマー

各サイズごとにこのセットがある。

1/4,5/16,3/8,7/16,1/2インチの5サイズセット
リコイルキットは、各サイズごとに写真の5つの工具と部品で構成されています。
使用する順番は左から右に使用していきます。
工具構成 (左から右へ)
- ドリル刃
- タップ刃
- インサート挿入ハンドルとインサート
- タング打ち抜き棒

インサート
インサート(リコイル)とは、ねじの山部分だけの金属パーツです。
ナメてしまったネジ穴に新しく一回り大きな穴をあけて、ねじを切り、その中にインサートを入れることでネジ山を復活させる方法です。
インサートを入れた場合、元々のネジ山より強度も向上します。

インサートを入れる場合、ボルトサイズによって使うサイズが異なるので、サイズの確認を行います。
インサートにボルトがスムーズに入ることを確認します。
この時インサートのバネの隙間は少し開きます。

サイズが決まったら、そのサイズのセットのドリル刃で穴を拡張します。
必ずセットに付属のドリル刃を使用します。

続いて、タップを立てていきます。
インサートを入れるための新しいネジ山を切る作業です。
一気に掘り進めずに、少し回したら、逆回転を繰り返し、少しずつ削り進めましょう。

切ったネジ山にインサートを入れていきます。
インサート挿入用のハンドルの先端に切れ目があるので、インサート先端のタング(曲がった部分)を切れ目にはめ込んで、挿入していきます。

ネジを回すのと同じようにインサートをねじ込んでいきます。
ボルト穴から飛び出ない位置までインサートを入れましょう。

インサートが入りました。
まだ、先端のタングが残っています。

先端のタング付け根あたりに少し溝が切ってあります。
この溝でタングが折れるようになっています。

タング先端はこちらの棒で殴って折ります。
ハンマーで一思いに殴りましょう。
貫通穴であれば、奥に落ちるので布などでカバーしておきましょう。

これで、インサートの挿入は終了です。

無事にナメたボルト穴が復活しました。
使用工具

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インサートキットのほかに、タップハンドルが必要です。
インサートキット

使用工具はインサートキットになります。
各サイズごとのキットや、写真のように数サイズのキットもあります。
元々のネジ山をドリルで削り落として、新しいネジ山を挿入するので、近いサイズであればインチからミリへの変更も可能です。
また、安物でもエンジンブロックにインサートを入れることができたのでそれなりに強度があるようです。
8MILELAKE 131個ネジ穴 修正 セット リコイルヘリサートキット つぶれた ネジ穴 ネジ山 再生 修復 キット 万能 工具 スレッド修理キット メトリックM5 M6 M8 M10 M12
AJulyBee ヘリコイルスレッド修理キット 261個 スレッドチェイサーキット HSS ドリルヘリコイルキット スレッドゲージ付き再スレッドツール | メートル法とSAE| 1/4インチ 5/16インチ 3/8インチ 7/16インチ 1/2インチ M5 M6 M8 M10 M12。
タップハンドル

インサートのネジ山切削時にタップハンドルが必要です。
インサートキットには付属しないことが多いので別途用意します。
新潟精機(Niigataseiki) SK タップハンドル M2-M10 TH-10